第7章 積極的投資家の投資-積極的な方針
積極的投資家が普通株を売買するときの、以下の4つの行動の特徴について解説してある章です。
- 相場が下がっているときに買い、逆に上昇しているときに売る。
- よく吟味した「成長株」を買う。
- 様々なタイプの割安株を買う。
- 「特別な状況」下の株式を買う。
相場全般の方針
株は安い時に買って高い時に売る。株式投資の入門書に必ず出てくる言葉です。言うは易し行うが難しなのは始めてみればすぐわかることですね。それが確実にできれば苦労はないわけです。グレアムも
相場に小さからぬ変動が起こったとき、投資家がそれに乗じて利益を得るためには売買の特別な才能、または「感覚」が必要とされる。これは読者がお持ちであろう知性とはまったく別物であり、われわれはそのような技術に基づいた売買については、投資家としての活動から除外している。
と言っています。この方法で利益を上げることも不可能ではなく、その分野での売買を得意としている人もたくさんいます。良い悪いは別として、グレアムの言う「投資」ではないということなのです。
しかし相場の変動の影響を受けることは、株式投資を行う上で避けられないものであるため、何らかの対策をとる必要があります。その対策方法はグレアムが何度も推奨している、株式と債券を半々で持つという方法です。
詳しくは第4章 一般的なポートフォリオ戦略-保守的投資家を見てもらうことですが、相場の状況が危険か魅力的かを投資家の判断で行い、株式の保有割合を最低25%から最高75%まで設定することです。言い換えればキャッシュポジションの割合の変化、ということもできます。
成長株への投資
将来性のある企業へ投資しなさい、という言葉も、株式入門書には出てきます。将来にわたって大きな収益を上げられる企業への投資が成功すれば、投資家は大きなリターンを得られます。そして事実、過去数年にわたって大きく利益を伸ばしてきた企業は見渡せばたくさんあります。そこに投資できていれば巨額の利益を得られたはずです。
しかしこの方法には大きな2つの問題点があります。
ひとつは誰もが成長するという見込みを持ち、これまで株価に陰りがなかった企業。成長株にはこのタイプが多いのですが、これらの株はそれ相応に価格が高いのです。良いものは高いという資本主義の常識(?)で、すでに何年か後の成長を織り込んだ価格で形成されています。
そしてふたつめが成長が長続きしないというものです。企業がすでに大成長している場合、すでに営業市場のパイも少なくなっていることもあり、過去と同じようにはいつまでも成長はできず、多くは下落の道をたどることにあります。
2~3の株式に絞り込んで投資を行えば、成長株の分野では成功するか失敗するかのどちらかである。
成長株投資で成功する人は少なからずいる。しかしみんながみんなうまく行くわけではないのです。
絞り込むのが悪いのか?成長株も分散投資すれば、いくつかの株が満足いくリターンを残してくれるのではないだろうか、という考えが浮かびます。グレアムの研究成果は次の通りです。
「成長株ファンド」の大多数は、S&P指数とダウ平均のどちらよりも収益率が低かった。普通株一般と比較したとき、成長株への分散投資では大きな成果が期待できないということである。
そして次の結論にたどり着きます。
平均的な賢明なる投資家がいくら努力をしたにしても、成長株の購入でこの分野を専門とする投資会社よりも良い成果を、何年にもわたって得られるとは考えにくい。実際、これらの機関が抱える頭脳集団と調査方法は、一個人の限界をはるかに超えているのだ。以上のことから、われわれは積極的投資家による典型的な成長株への投資に反対する。
成長株投資で成功する個人投資家もいないわけではありませんが、宝くじで当たる人がどこかにいるように、誰かは必ずうまく行きます。そしてその方法論は、理論的で非常にもっともらしく聞こえます。しかしそれが何年にもわたってうまくというのは、やはり難しいことなのです。
割安株について
この章の割安株については、内容が多くて濃いために、後日別ページとしてまとめます。
特殊状況の投資
バフェットも行っていたリスクアービトラージ、いわゆる裁定取引ですが、これはグレアムが賢明なる投資家第四版改訂当時の、1972年でさえリスクが高まり利益も少なくなったと述べています。
多くの人が知ればすぐに群がってできなくなるのが裁定取引です。きっと今でもどこかで行われているのでしょうが、その情報が漏れることはおそらくありません。
倒産した鉄道会社の社債を、再建する見込みをもって購入するなど、特殊状況への投資は高度な専門的な知識を必要とします。
投資において特別な状況を利用するということは、やはり特別なテクニックと、特別な感覚を必要とする。おそらく積極的投資家の中でも、この分野に手を染める人はわずかだろう。そして本書は、このことを詳しく解説するのにふさわしい場所ではない。
と、グレアムの言葉です。特別な状況下の投資方法についてはグリーンブラット投資法 - M&A、企業分割、倒産、リストラは宝の山の本が詳しく解説してあります。興味があれば参照ください。
あなたはどちらか
これはもうちょっと早く(第五章あたりで)言うことじゃないの?っていう大事なことが書かれています。それはあなたが防衛的投資家になるか積極的投資家になるかということです。これを決めてから読み進んだほうがわかりやすいと思うのですが…。
積極的投資家になるには半端な覚悟ではいけません。証券価値に関する知識を相当持っていなければならなく、自分の証券取引をひとつの事業として考えるほど必要なのです。
この考え方において、受動的、積極的という二つの立場の中間などないし、どちらかへの移行もない。多くの、おそらくほとんどの投資家は、このような中間に自分を位置づけたがる。われわれはこれを妥協とみなす。このような考え方では、達成感よりも失望を味わうばかりである。
まるでグレアムに叱られているようです。大多数の投資家は防衛的な態度をとるべきなのです。そしてヤケドを負わないように、あくまで保守的な態度で株式市場に付き合い、リスクをとらない収益で満足するべきなのです。考えさせられてしまいますね。
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