第7章-2 割安株についての抜粋

グレアムの投資といえば、割安株を買うことと一言で言い表せますが、何を持って割安株といえるのか、そしてどれぐらい安ければいいのかという、割安株についてです。

割安株の定義

われわれが定義する割安株とは、詳細に分析した結果、現在の価格よりも大幅に価値が高いと思われる銘柄であり、普通株だけではなく、額面割れしている債券や優先株も含まれる。この定義をできるだけ正確にするため、その価値が価格と比較して、少なくとも50%以上高いものだけを、「割安」銘柄と呼ぶこととする。

これは例えば3000円の価値があるなら、2000円以下の価格で買えるなら割安と言えるということです。

割安株を見つけ出す方法

第一に、見積もりによる方法。これは主に将来の収益を見積もり、それにそれぞれの株に当てはまる要因を掛け合わせていく方法である。第二は、その事業者にとっての価値を計る方法である。この価値もまた主に将来の収益見積もりによって決まることが多いので、結果は第一の方法と同じである。しかし第二の方法では資産の換金価値、とりわけ純流動資産、つまり運転資本により注意が払われる。

ちょっと漠然とした内容に聞こえます。再調達コストから導く資産のバリュー計算方法あたりが参考になると思います。また、最も明確な割安株については後述します。

これらの基準を用いると、一般的に相場が低迷しているときの普通株の大部分は割安株である。実際、現在の収益と目先の見通しは悪くても、将来の状態を冷静に評価すると、現在の価格よりもはるかに高い価値を示すことがある。以上のことから、市場が低迷している時期にこそ勇気を持つことが以下に賢明かということが、経験だけではなく、信頼できる価値分析法によっても証明できる。

誰も買わないときに買うという単純な理屈ではなく、市場が閑散として誰も買わない時の価格は、価値よりも下回っているのだということを理解することが大切です。あくまでも、相場を相手に立ち振る舞うのではなく、相場が招いたバーゲンセールで割安株を手に入れるということです。

株式市場は目先の見通しに過剰に反応することもわかっています。一時的な問題ならば、悪材料は価格を下げるチャンスになります。しかしそれは理想論であり、以下のグレアムの言葉で二の足を踏まされます。

一体だれが、現在の不振は一時的なものであると確信をもって言えるだろう?

ここで景気循環株の話になります。鉄鋼株などは景気循環株として知られています。景気循環株は、景気の影響で収益に大きな差がつくため、株価もそれと連動しています。そのために不景気の時に買い、好景気の時に売れば大儲けできることになります。

しかし景気循環株の中には、不景気の時に立ち直れない企業も存在します。もともと強くない企業でも、景気の後押しという流れにうまく乗って利益を上げることはできますが、逆境になったときには本性を現します。財務体質や営業力の弱い企業は淘汰されるため、投資家には収益と価格の下落以外にも判断基準が必要だということがわかります。

投資家は少なくとも過去10年間かそれ以上にわたってその企業が安定した収益を上げていること、言い換えれば赤字の年がないことに加え、将来起こりえる低迷に備えた充分な規模と財政的な力があることを確認しなければならない。

(キャッシュフローの話は置いておいて)赤字がなければ最悪潰れません。そして事故や訴訟などのリスクを受け止めきれる規模や財政力も必要なのです。

新興株への投資は難しいということもわかります。勢いのある新興株は魅力的ですが、それが本来の力なのか景気という追い風で飛んでいるのに過ぎないのか、はっきりと断言することが難しいからです。過去の不況も体験して、それでも収益を上げ続けている歴史ある企業というのはやはり強いのです。

最も見分けやすいネットネット株

最も見分けやすい割安株は、優先負債をすべて差し引いた後の純運転資本以下の価格で売られている株式である。

流動資産から負債を差し引いた金額というのは、会社に残っている正味の余剰金です。その金額より安く手に入れるということは、正味の余剰金の残り分だけでなく、計算に入れていない建物、機械などの固定資産や、ブランド、知名度などといった無形資産をただで手に入れることになります。

実際にその価値が運転資本以下になることはほとんどない。

ここで少し注意が必要になります。

運転資本以下になることがないといっているのは価値のことであり、価格のことではありません。どんな逆境があっても、よもやこれらより価値が低くなることはないという事です。こういう割安株を手に入れさえすれば、価格が下落しないと言っているのではありません。

もっともこういう株式のパフォーマンスが秀でていた事は確かです。グレアムの調査でもS&P425(!)銘柄より上昇幅が大きく、かつ大幅な下落もなかったのです。私が以前、日本株で調査した結果も同じでした。

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