外貨建て運用は本当に期待リターンが高いのか
外貨建て運用のメリットとして、以下の三点があげられます。
- 海外では高金利商品があり、外貨建て商品の組み入れは、国内では得ることのできない投資収益が期待できる。
- 外貨建て商品を組み入れることにより、中期的には将来の円安によるインフレリスクに対応することができる。
- ポートフォリオに外貨建て商品を加えることは国際分散投資となり、投資リスクの分散を図ることになる。
しかし驚くべきことに、1の効果は実はないというのが運用の世界では常識なのです。
外貨建て商品のデメリット
その効果を打ち消してしまうのが以下のデメリット。
- 為替リスクがあり、為替相場の変動により、投資採算が不確定になる。
- 発行体や属する国の状況悪化による、元本や利息が支払われなくなるリスクがある。
早い話が、金利差はマーケットが為替変動という形で裁定するということです。
仮に外貨預金や外債の利回りが外貨ベースで年5%とすると、円ベースの期待リターンは何%と考えられるでしょう。「為替リスクはあるが、円ベースでのリターンは5%を中心に上下に振れる」と考えている人が多いのではないでしょうか。
はい、私もそのうちの一人です。
実は外債であれば、リターンを構成する要素のうち、信用リスクや期間のリスクに関係する部分を除くと、どの通貨であろうと、期待リターンはそう大きくは変わらないというのが基本的な考え方です。つまり、「外貨運用の期待リターンは基本的に国内金利並み」、「国内の金利水準を中心に上下に振れる」というのが正解なのです。
KINZAI Financial Plan No.283より
驚きですね。しかしちょっと腑に落ちません。
円キャリートレードは
円キャリートレードとは金利が安い円を借り、高金利の通貨で運用するというものです。そのため円キャリートレードが流行った一昔前、一時的に円売りが殺到し円安基調が続きました。
借りた円を売り、外貨、例えばドルを買うという動きが広まったからです。みんながみんな円を売ってドルを買う。当然円は安くなりドルは高くなるのですが、すると今度は為替差益まで見込めてしまうのです。
この状態は円ベースから見れば、ドルの利率に為替の動きが関係しているとしか言いようがないと思うのですが…。もっとも、その後の結末を考えればやっぱり裁定されたのかとも思います。
レバレッジがかかった状態で多額の外貨が買われます。しかしいつかはマーケットは実体経済にもどる働きがありますから、再び円高に戻るときがあります。その時に全員が利確できるわけではなく(損失決済も含め)、一気に円高に引きずられてしまいました。円キャリートレードの巻き戻しというやつですね。
やっぱり「フリーランチ」はないのでしょうか。
外国為替取引のリターンの根拠
この根拠が何度読んでも私には理解できないので、説明文をそのまま載せます。理解していただけたら幸いです。
KINZAI Financial Plan No.283
より
為替市場の基本的な仕組みとして、スポット(直物)レートとフォワード(先渡)レートというものがあります。いま、AとB2つの国があり、為替レートは変動相場制であるとします。この場合、両国通貨間のフォワードレートは
- スポットレート×(1+A国金利)=フォワードレート×(1+B国金利)
という関係があります。これは、A国通貨をB国通貨に換えて運用した場合とA国通貨でそのまま運用した場合とで、期待リターンに差がなくなるようにフォワードレートが決定されるということです。これを金利裁定(どちらか一方で運用した場合が有利にならないように裁定されるという意味)と呼びます。
フォワードレートは基本的に需給によって決まる(変動する)のではなく、スポットレートと同時に決定されます。為替市場では、スポットレートだけでなく、フォワードレートを決定するための直先スプレッドも取引が行われており、例えば円に対して高金利通貨のスプレッドはディスカウント、つまり円高・外貨安となります。
もちろん、将来の為替レート、例えば1年後のスポットレートが必ず現時点の1年先のフォワードレートに一致するというわけではありませんが、為替レートの考え方としては、「現在のスポットレートを中心に動く」のではなく、「フォワードレートが中心」と考えることが基本になります。したがって、先の例とは逆にB国通貨をA国通貨に換えて運用した場合と、B国通貨でそのまま運用した場合でも期待リターンは同じだという関係が成立していることになります。
これは資産運用・金融の世界における基本知識なのですが、しばしば“プロ”でも間違っておぼえていることがありますから、十分注意してほしい点です。
ということです。わかりましたか?
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