ヘッジファンドの中の人たち

ヘッジファンドは、時にハゲタカのように罵られ忌み嫌われますが、実に思慮深い合理的な投資家です。

ウォールストリート日記というブログにヘッジファンドと金融危機(議会証言より)という大変興味深い記事が出ていたのでご紹介します。

とりあえずリンクをたどって読んでください。その後は私の拙い感想です。

感想

ヘッジファンドはもうちょっと小規模で運用していると思っていました。ある程度小さいほうが身動きがとりやすく機敏に売買できるからです。もちろん小さい所が多いでしょうけど、1.6~3.6兆円の規模の人たちが今回は集まりました。

機関投資家のウラをかくという戦術は、株式投資ではしばしば簡単に誰もができるように語られますが、それは機関投資家以上のしっかりしたリサーチがあってこその賜物です。

Q あなた方の中には、サブプライム危機の発生を予想して大きな利益を上げた人がいるが、ウォール街とワシントンが完全に見過ごしたと言える金融危機を、どのようにして察知し、また回避することが出来たのか?

A 一生懸命働くこと、格付機関から独立した、独自のリサーチを行うことで、ミスプライシングを発見すること。明らかにAAAではない債券に、AAAの格付が与えられていた。

A 住宅ローン業務に関連した銀行や証券会社、ローン会社などが行っていたような、非合理なリスクを取る代わりに、リスクを出来るだけ抑えながら、合理的投資を行ったこと。我々は、今回の金融危機を拡大させる原因となったレバレッジ(借入金を用いた投資)もほとんど行っていない。

A 我々のアナリスト達は誰よりも勤勉に働き、独自の投資リサーチを行っている。よって誰にでも出来る簡単な解決策があるわけではない。

これらは文章にすると当たり前の事を言っているだけです。しかしその意味は重く、投資というものの本質を理解しなければなりません。詳細な分析に基づき、元本の安全性を守りつつ、適正な収益を得るような行動という、グレアムの投資という言葉がぴったり当てはまります。

空売り関連の話

Q 空売りの問題点は?株価を押し下げ、企業を破綻に追い込む要因になっているのではないか?

A 大半のヘッジファンドはデイトレーダーではなく、あくまで企業リサーチに基づく株価の正当な価値に基づいて売買を行っており、投資家と呼ぶにふさわしい存在である。

企業は、株式の空売りによって破綻に追い込まれることはなく、あくまでも事業の失敗や、過剰負債(バランスシートの悪化)によって破綻する。

空売りで企業をつぶすことは困難です。一時的な株価の暴落を引き起こし、それによって企業が(融資停止など)不利益を被ることはあるでしょうが、あくまで株価は一時的にしか下げることができません。

ファンダメンタルズから株価がかけ離れても、いずれは本来の価格へと戻ります。その時に必ず買戻しを行わなければならない空売りは悪にはなりえないのです。ましてヘッジファンドは企業価値より価格が高すぎる銘柄にかけて空売りをかけます。いうなれば逆バリュー投資です。

みんなの逆の事をして儲かっている人を見ると眉をひそめる人がいますが、無限の損失の可能性を負って空売りを仕掛けているわけですから、リスクを背負った市場参加者という点では同じです。流動性と公正な価格を提供しているのですから、非難されるすじあいはないはずです。

最後に

ヘッジファンドのファンドマネージャーたちの巨額報酬に対してのっていますが、これも恐ろしくまっとうな意見だと思いました。

Q 一般の人から見て、あなた方の報酬は天文学的数字に見えるが?

A ヘッジファンドマネージャーの報酬は、あくまで投資の成功報酬に基づいており、投資家と8:2で配分されることが通常である。言い換えれば、我々の顧客というか、投資家が利益を上げた時にのみ、報酬が得られる仕組みになっている。仮に損失を出すと、その損失を取り戻すまでは報酬はもらえない。

これは、どこぞの会社(金融機関を暗示)のように、経営者や従業員が莫大な報酬を手にし、その間に会社が破綻に向かって突き進むのとは大きく異なる。

また、我々マネージャー自身が自らのファンドの最大の投資家でもあるため、ファンドに損失が出れば、まず自分自身が最も痛手を受けることになる。

天文学的な報酬は、天文学的な利益が源泉です。私からすればプロ野球選手の年俸のほうが、赤字の球団の経営としては異常だと思います。

ここでは触れてないヘッジファンドの汚い影の部分もあるのでしょうが、ヘッジファンドというだけで利益追求の金儲け集団と考えるのは早計だと思います。

投資家として見習うべきことがヘッジファンドにはたくさんあると思います。

関連するエントリ(上記とかぶる場合があります)

« 「継続企業の前提に疑義あり」とは | 第10章 投資家とそのアドバイザー »

コメント & トラックバック

この記事はコメントもトラックバックもできません

コメントなし