清算価値から計算する資産のバリュー

資産のバリュー(価値)を測定する時には、目的によって大きく分けて2つの方法があります。ひとつは資産全てを売り払う清算価値。もう一つは事業を継続するとして、新規参入する時の再調達コスト。今回はこの清算価値について取り上げたいと思います。

清算価値の理想と現実

清算価値を知るというのは、企業が倒産する場合に非常に重要になってきます。なぜなら会社に残った資産を売却して、実際に手にした資金を投資家に分配する最後の企業価値だからです。

あとこれはあんまり言いたくないのですが、事業が継続するとした場合、清算価値を知ることのメリットは少ないと言えると思います。なぜなら巨額の含み益を持つ土地があるとしても、事業に使うためにその土地を売り払うわけにはいかないからです。

たとえば遊園地があったとして、時価総額と土地の資産が拮抗していたとします。理論上は、土地代を払えばほかの資産を全てただで手に入れることになります。

しかし、遊園地から土地を取ってしまっては事業の継続は出来ません。利益率が悪いにしても、解散しない以上は宝のもちぐされになっているだけです。

企業が解散する時は、解散価値によって素晴らしい投資チャンスが訪れる可能性があります。

清算価値の測定方法

ではいよいよ資産のバリュー、清算価値の測定に入っていきます。使う物はもちろんバランスシートです。

1番精度が高い、流動資産の上の項目からおりていきます。現金や短期保有の有価証券は100%の評価で問題ありません。売掛金はツケで売った金額です。100%の回収は困難ということから、バリュー投資入門では85%の評価を与えています。

次は業界、業種や、会社によって数字が変わってくる棚卸資産です。ここでは棚卸資産が何かということで評価はがらりと変わります。棚卸資産とは在庫のことです。この在庫が換金性の高いものなら評価は上がりますし、ろくでもないものなら逆に処分代として費用が発生するかもしれません。

また原料に近いものほど価値が高いと言えます。(例:絞り染めのTシャツ<錦糸)

宝飾品や貴金属なら限りなく100%に近づければいいのですが、大量の健康サンダルなんかはとても簿価とは比較できないでしょう。

計算が難しい固定資産

棚卸資産と同じように評価が難しくなるのは固定資産です。土地・建物・機械装置は固有の評価が必要になってきます。土地はある程度鑑定人を信頼すればいいのですが、建物や機械装置はそれぞれ性格が大きく違います。

オフィスビルなどは価値も高いでしょうが、特定産業の化学プラントなどは使い道が限定されるためにそのままでは評価できません。

同じく機械装置もその業界で再利用できるものなら問題は少ないのですが、自社製品を作るためだけに特化したロボットなどは評価も低くなります。

次は営業権です。これはのれん代とも言い、以前に企業が買収した時(された時)に、簿価以上だった場合に営業価値としてバランスシートに計上するものです。 簿価以上になぜ金額を積むかというと、それは企業の知名度(ブランド)であったり、優秀な従業員であったり。(買収金額-会社の資産)のあと残った数字が営業権です。資産以上のなにか、に払った金額です。

そんな営業権ですが、精算価値には一切含まれません。事業が継続しないなら、どんなブランドネームももう意味がないからです。コカコーラだって継続するからこそあの赤いデザインに価値があるのです。営業権というのは基本的に、帳簿上の数のつけ合わせ(帳尻あわせ)にほかならないといえばわかりやすいでしょう。

資産のバリューを測定した投資家のとるべき行動

さて、こんな調子で資産に評価をつけていき、最後に合計をしたところで清算価値が出てきます。しかしこの会社の株は買いません、というのがバリュー投資入門のススメです。

なぜなら継続できずに倒産するのだから、資産から負債を払っていったら株主に残るものはおそらく何もないからです。だいたい株主に渡せるほどの資産があるのなら、減資でもして倒産を免れようと考える方がずっと自然です。

では何を買うか!

倒産時に株主より優先されて払われる債券です!しかし債権が払えなくて(ややこしい…)倒産するのに、そんな債券を買ってしまって大丈夫なのでしょうか。

そこで債券価格の下落と安全域の概念が出てきます。倒産してデフォルトした債券は大幅に割り引かれて手に入ります。そこで資産のバリューを計測して、その上で大きな安全域をとって債券を購入するのです。

これはグリーンブラット投資法にも載っている、倒産企業のスペシャルシチュエーションの投資法にも通ずるものです。ジャンクポンドであっても、資産のバリュー以下で支払うことが出来る債券なら、懸命なる投資家にとって魅力的な買い物になるのです。

関連外部リンク

  • 不動産鑑定士制度:日本不動産鑑定協会の、不動産鑑定士とは?についてのページです。
  • 関連するエントリ(上記とかぶる場合があります)

    « 再調達コストと参入障壁 | 再調達コストから導く資産のバリュー計算方法 »

    トラックバック URL

    コメント & トラックバック

    この記事にはコメントがつけられません

    [...] 前回の清算価値から計算のに引き続き資産のバリューを測定する方法として再調達コストを取り上げることにします。再調達コストとは、分析している企業と全く同じものを作り上げる [...]