グーグルの決算発表に見る、効率的市場仮説
市場は常に効率的である。効率的市場仮説の考え方は、株価は賢明な投資家達によって、常に価値にたいして裁定が働き効率的な価格になるというものです。
グーグルの四半期決算と株価の動きによって検証しています。
3/12のニュース:グーグルのペイドクリック数減少は全体構想の一環–調査会社報告より
ネット動向利用調査会社のComScoreは、Googleのペイドクリック数が最近減少していると報告した後で続報として、この減少は「Google自身の品質向上イニシアティブのためにペイドリスティングの数が減り、その結果ペイドクリックが発生する機会が減った」ためだとその根拠を示した。
ペイドクリックとはクリックすることにより料金が発生する有料広告のことです。グーグルのメインの収益である、広告のクリック数が頭打ちどころか減少しているというのであれば、営業利益の低下は免れません。急成長を続けていたグーグルも未来が危ぶまれます。
ZDNetの編集長Larry Dignan氏の指摘によると、Armstrong氏はペイドクリック数の減少は意図的なものであり、より効果的で精度の高いターゲット広告を提供するための戦略計画の一環であると述べた。したがって、Googleの株価に打撃を与えた市場の不安感は、根拠のないものだったということになる。
このころグーグルの株価は急落し、株価は低迷していました。グーグルに問題は無いとアームストロングが言っていますが、市場は悲観的に受け止めています。

4/17のニュース:グーグル検索広告に垂れ込める暗雲–ペイドクリック成長率が大幅失速により
15日夜に、インターネットトラフィックを計測するComScoreは、ある残念なニュースを伝えてきた。米国におけるペイドクリック成長率が、鈍化してきていることを明らかにしたのだ。公平を期すためにも、JPMorganが16日午前に出したリポートによれば、Googleは、競合企業よりもよくやっていることを伝えておかねばならない(ComScoreのペイドクリックに関する調査の詳細な数字は、大抵は一般に公開されることがない。このデータについては、ウォール街のアナリストが出すリポートからのみ知ることができる)。
2008年第1四半期の決算発表が間近に控えているときの記事です。どういった決算発表になるか大変興味深いと言っています。米国におけるペイドクリック率が鈍化してきている…。一般に公開されることがない、ウォール街のアナリストが出すリポートからわかったわけですが、あとの伏線となるので覚えておいてください。以下はヤフーですが今回の記事とはあまり関係ないですが参考までに。
競合企業は、もっと最悪の結果に終わっている。Yahooの3月のペイドクリックは、前年同月比3.1%減となった。同四半期のYahooのペイドクリック成長率は、前年同期比5.4%増とはなっているものの、2007年第4四半期に記録した、前年同期比9.8%増の成長率からは、やはり低下してしまった。
4/18のニュース:グーグル第1四半期決算、アナリスト予想を上回り増収増益より
Googleは米国時間4月17日、第1四半期決算(2008年1月-3月期)を発表した。悲観的だったウォール街アナリストの予想を上回り、純利益は2007年第4四半期の12億1000万ドルから13億1000万ドルに増加した。
非GAAPベースでの1株あたりの利益は4.84ドルとなり、Thomson Financialが調査したアナリスト平均予測4.52ドルを上回った。3月31日締めの第1四半期の売り上げは「ささやかながら」DoubleClick買収の成果もあって51億9000万ドルとなり、前年同期の36億6000万ドルから42%近く増加した。
結局決算発表は増収増益でした。景気後退の流れを受け、グーグルのペイドクリック成長率が鈍化するのではないかという話は、実はこんな結末です。
Googleによると、2008年第1四半期のペイドクリック数は2007年第1四半期と比較して20%、2007年第4四半期と比較して4%増加したという。
減少?頭打ち?鈍化?それどころか前年を上回るペースでの成長率を見せたのでした。一体ComScoreはウォール街のアナリストが出すどんなリポートを見ていたのでしょうか。分析が全然違っていたのですから、ComScoreの風当たりが強くなることがわかります。ComScoreの株価は営業時間後取引で8%下落したといいます(次の日の前場で取り戻した)。一方グーグル株は18日の取引時間中に一時前日比21%高の545.11ドルまで買われました。

4/22のニュース:コムスコア、グーグルのペイドクリック数のデータ差異の発生理由を説明より
comScoreは15日、Googleの2008年第1四半期のペイドクリック数は前年比で1.8%成長したと報告した。しかし、17日、Googleは実際の成長率は20%だったと発表した。この差があまりに大きかったためGoogleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は決算発表後の電話会議でcomScoreに次のようにくぎを刺した。「ペイドクリック数の成長率はサードパーティーが予測していたよりもはるかに高い」
グーグル側としても、誤った情報により株価が乱降下したのは不本意でしょう。コムスコア側は次のように弁解しています。
最も明白な要因は、Googleの発表した20%という統計数字は全世界のデータであるのに対して、comScoreは米国内の結果のみを計測していたことである
確かに最初に米国におけるペイドクリック成長率が、鈍化してきているという報告でした。しかしそれでも『Collins StewartのアナリストSandeep Aggarwal氏によると、のちにGoogleは米国内のペイドクリック数の成長率を10%と発表した』のですけどね。
市場がいかに効率的だったか
株価はニュースによく反応しました。もともと2007年の決算発表があまりよくなかったため、サブプライムローン関連の悲観ムードと重なり売られ続けてきました。そこへ第三者機関による収益減少のニュースです。収益が減少すると報じられると株価はすぐに『効率的』に値下がりををしました。
しかし正式な発表を受けると、またすぐに『効率的に』元ある水準へと回復しました。真実とは違っている報道にすら、効率的に動いてしまうのです。これらの報道がなければ、株価は窓を開けることなく500~550ドルあたりを動いていたことでしょう。
グーグルのような巨大会社で、何人ものアナリストが注目していてもこのような事が起こります。逆に注目がなければ起きなかったともいえますけども…。
市場が効率的なのは価値に対してではない
一連のことを見ていてわかるのは、市場が効率的なのは価値に対してではなく、大多数の人が思い込んでいる情報にたいしてということです。真実かどうかすらも置いて。
そこに活路を見出せれば素晴らしい投資成績を収めることができますが、残念ながら裏をとる方法がなければ、結局一人だけ出し抜くこともできないわけです。それができる立場といえばインサイダー取引ですしね。
重要なのは価値にたいして価格が常に効率的というわけではない、ということを知ることです。まだ誰も気づいていない割安株はきっと常に存在しているのです。巨大な機関投資家の目に入らない、ちっぽけな銘柄に個人投資家の活路は開けています。
それにしてもサブプライムローンの時の格付け機関にしろ、今回のコムスコアにしろ第三者機関の分析は信用がおけない点がありますね。ニュースを聞いたらまず疑って、できるところまで自分で裏を取ることが大切ですね。
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