カウンターゲームの三部構成

投資本の「カウンターゲーム」は大きく15章、三部構成になっています。概要をまずはお伝えします。

前書きが長い…

第一部が始まるまでに前書きがあるのですが、それがとても長いのです。本文が始まる前に力尽きるのではないかと思うぐらい長いです。まるで本屋での立ち読みは許さないぞっていうぐらい長いです。

  • 日本語版への序文
  • 訳者まえがき
  • 目次(CONTENTS)
  • 序文-ジム・ロジャーズ
  • 謝辞
  • まえがき

…と続いて、33ページからようやく本文が始まるのです。

第一部、逆張り投資法の大要(1~4章)

逆張り投資の買いシグナル、売りシグナルについておおまかな紹介がしてあります。逆張り投資家が相場の天井で買ってしまっては話になりませんので、厳格な買いシグナルが決められています。その中でもっとも基本的なのは

逆張り投資家が始動するには、過去12ヶ月間にその銘柄は最高値から少なくとも50%下がらねばならない。

というものです。これは生粋のバリュー投資家にはない発想ですね。判断基準を、まず株価においているのです。バリュー投資がボトムダウンアプローチとすると、逆張り投資家は(完全ではないですけど)なんとなくトップダウンアプローチになります。

続いて売りシグナルは、購入価格が50%上昇するか、保有後三年後のどちらか早いほうといっています。上昇率をよく見ていただければわかると思いますが、これは元の高値をさしているわけではありません。

元の高値が1000円だとすると、買いシグナルは50%下落した500円ですが、売りシグナルはそこから50%上昇の750円になるのです。ずいぶん早く手ばなすように感じませんか。

バリュー投資と違い、価格や価値を計算するわけではありません。逆張り投資の理論の裏づけは統計にあります。これは詳しくは第二部で説明しますが、50%上昇した株はその後の上昇率が市場平均に劣るためです。

保有期間の三年間という数字は、なんとグレアムの提唱であります。グレアムが言うには株価が本質的価値に近づくには1~3年間の時間が必要で、統計を見てもそのとおりになっているからということです。

そのほかにバブルの歴史を顧みて、いかに人々が相場に熱狂的になるか解説してあります。オランダのチューリップ投機は非常に興味深いものでした。その後の1929年の世界大恐慌、日本の不動産バブルなどについて書かれ、400年ほどたつ現在でも何も変わってないことを思い知らされます。

第二部、逆張り投資法による買いのシグナル(5~11章)

5章では特にテクニカル分析:逆張り投資戦略の要点とあってテクニカルの可能性を期待したのですが、先ほどの50%下げルールを強調しただけのものでありました。ちょっとがっかりですが、このルールには例外がないことを改めて訴えています。

それから内部精通者による自社株買いが大きなポイントになります。同じようにウォーレンバフェットのような投資家の買いも同じく重要な買いポイントになります。

似たような状況、内部者による自社株売りはどうなのでしょうか。

これは自社株買いと違い、明確な売りポイントではないと述べてあります。それは買いというのは意識的なものであるのに対し、売りというのはその他の要因が絡むものであるからです。何らかの現金が必要になったためであるといったことです。

9章以降では株式指標のリターン、低PERや低PBRの優位性について解説してあります。これらは「ウォール街で勝つ法則」のほうがより詳しいです。このサイトの中にも記事がありますのでご覧ください。⇒株式投資で最高の収益を上げるために

それと、この本の中ではバリュー株という言葉がちょこちょこ出てきますが、これは本質的価値を問うグレアムのバリュー投資ではなく、グロース株に対するバリュー株、いわゆる割安株というバリュー株になります。

第三部、逆張り投資法の売りシグナル(12~15章)

この本はこの第三部がとても濃いです。リスク管理の重要性について説かれています。株式投資を長く続けるほど、このリスク管理がいかに大事かということは身を持って知りますね。投資歴の長い人なら、次の言葉に同意してくださることでしょう。

  1. 素早く金持ちになるには!
  2. ブル・マーケットで錯覚すること
  3. 極秘情報による被害
  4. 思惑違い
  5. 知識の欠如

リスクの罠として、以上の五つが挙げられています。中でも2の「ブル・マーケットで錯覚すること」では次のような注釈があります。

健康的なブル・マーケットで幾つかの連続した取引をし、良いリターンが得られれば、自分を無敵と考え始める。マーケット全体が上がっており、それが成功した理由のほとんどであるということに考えが及ばない。その結果、自分の投資対象は全部成功すると確信し、投資対象を多様化しようとは考えない。何かが自分の身に起こった場合に家族が分かるように、自分の投資戦略を分かりやすく文書にしておきたいと考える。たぶん、本を書くことさえ考えるかもしれない。結果は、さらに悪化する。自分を過信し、公然と他人の投資法を軽蔑するようになっているからである。

何度となく、いつもどこかでこういう人たちを見てきました。

分散投資

ポートフォリオは同一銘柄を、資産の5%以上にしてはならないとあります。できたら3%程度に抑えるべきだとあります。言い換えれば最低20銘柄は保有せよということです。

さらに特定の分野の産業への投資割合は20%以下にしたほうが良い、とあります。相関関数からみてもリスクヘッジするには違う産業を組み合わせたほうが良いですからね。例えば不動産セクターが割安な状況になると、ポートフォリオが不動産銘柄だらけ、ということになってしまいがちですが、それらを意識的に管理したほうが良いといっているのです。

ナンピンと損切り

難平(ナンピン)買いはしないほうが良いとあります。株価が下がったら機械的に損切りしろとのことです。この逆張り投資法は、統計が戦略の概念にあります。そのために意に反して株価が下がった場合は、損切りしたほうがうまくいくことを示しています。

その損切りラインは25%に設定し、売買が私立したらすぐに逆指値で出しておくようにとのこと。25%と言っても最低20銘柄保有しているわけですから、総資産から見れば1.25%の損失に過ぎません。トレーダーからしてみればずいぶんとゆるく感じるでしょうが、25%ぐらいの下落は市場の動きとしてはよくあることで、その後上昇することが多いからであります。

それではもし30%下がってから上昇したら?

そういう時もあるでしょう。しかし全てのトレードで勝つことが目的ではなく、トータルで安定したリターンを出すのがリスク管理の重要なことです。完全を求めることは応用が利かないことであり(ごく限られた状況でしか使えなくなる。)、適度な緩さが長い投資生活での長期的な戦略になるのです。

キャッシュポジション

キャッシュポジションの大切さも書いてあります。利率の少ないキャッシュポジションも侮ることなかれ。例えば市場が15%下落したとして、自分のポートフォリオは5%上回ってマイナス10%で済んだとしても、それはキャッシュポジションには遠く及ばないのですから。

平成大不況のデフレのもと、一番うまく資産運用できたのは、預貯金しかなかった一般市民だったのです。過熱した相場に手を出さないのはリスク管理です。

リスク管理の重要性はファイナンシャルプランナーの知識を深めるにつれ、ますます気付いたことがたくさんあります。株式投資はやっぱりリスクが高いものなのです。慣れちゃうと麻痺してきますが、リスク管理の徹底が長く株式市場に踏みとどまるのに有効になってきます。

基本的に株式市場には長くいればそれだけでリターンを生むのですからね。

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