上昇相場で多くの人が感じる大いなる勘違い

先のゼロサムゲームとはという記事で、ROE以上のリターンはゼロサムで、他の市場参加者から奪ったものであると述べました。

しかし、相場全体が上昇しているときは誰も損していません。中には損している人もいますが、全体から見れば全員のリターンの量のほうが多くなっています。これはプラスサムではないのでしょうか?

株で儲かるとは

株で儲かるということはどういうことでしょうか。多くの場合、株を買ったら値上がりして、買った価格より高く売れたということを指すと思います。そのほかには投資先の企業が利益を上げて、配当をもらって儲けたということもあります。今回はそれは置いておいて、高く売って儲かったという話です。

儲かった後はどういう行動をとるでしょうか。旅行に行く、パーっと飲み食いする、欲しかったものを買うといったことも考えられますが、再び投資資金に回し、再投資するというのが賢明であると考えられています。

しかし、この行動こそが株がゼロサムになる理由なのです。

ブルの後にベアが来る

相場というのはブルと呼ばれる上昇相場と、ベアと呼ばれる下降相場が定期的におとずれます。ベアの時は確かにみんな儲かっています。参加していないのが愚か者のように扱われます。この時のプラスとなるリターンはいったいどこから来ているのでしょうか。

実はこれは、未来のベアマーケットの参加者から吸い取っているゼロサムゲームと考えられます。

日経平均で考えてみましょう。便宜上、日経平均の本来の価値を14500円とします。すると、14500円を越えている相場は、後に来る14500円を下回る相場のお金が流れていると考えられます。クリックで拡大されます。

日経平均の時系列のゼロサム

儲かった上昇相場のあとで、相場が下降して元に戻る、あるいは損する、利益が減るといった経験は、株式投資を長くやっていれば誰しも経験します。上昇相場のプラスは、実は後に来る下降相場のマイナスからと考えればつじつまが合います。

また短い期間でとって見ても、相場のプラスとマイナスが揺れ動いて、トータルでゼロサムになっているように見えます。先物取引は誰もが知っているゼロサムゲームですが、現物株取引といえど時間軸を超えたゼロサムゲームなのです。

なお日経平均のフェアバリューとした14500円という数字は、説明しやすいように作為的に捻出したものです。実際は全体のROEから配当利回りを引いた、緩やかな右肩上がりになっているはずです。

ずっと参加していてはいけない

このように、上昇相場から下降相場までずっとお金を注いでいては、儲けの効率は悪くなってしまいます。上昇相場で得た利益を再投資するというのは、全てにおいて賢い選択とはいえません。

プロのギャンブラーはテーブルの上のチップは儲けと考えていません。ポケットに入れてカジノを出たときに初めて収益として考えます。つまりゼロサムゲームで勝っていても、資金をそこにおいている限り本当の勝ちだとはいえないのです。これは金持ち父さんの教えであります。

このように考えると、含み益、含み損とは。投資家による4つの考え方で紹介した、含み益や含み損は実現していなくとも投資家の損益であるという考え方も怪しくなります。

マーケットから資金を引き出さない限り、本当に利益や損失が出ているといえないのではないでしょうか。

バフェットも「買う銘柄がない」という時期がありましたし、グレアムも「相場の状態に合わせて株式と債券の割合を25%~75%の間で調節する」と言っています。これらはいずれも相場のゼロサムゲームに付き合わないということでありました。

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