ゼロサムゲームから見る投資と投機の違い

投資と投機の違いについて、たくさんの議論を見てきました。長期が投資だ、いや短期だって投資だ、いやいや株取引自体が投機だ、と。人はなぜか自分がやっていることを投機といわれるのが我慢ならないようですね。

投資と投機について考えてみましたら、グレアムが行っているのも実は投機だということがわかりました。

グレアムのいう投資と投機の違い

グレアムは賢明なる投資家の第一章「投資と投機-賢明なる投資家が手に入れるもの」で、投資と投機ははっきりと分けるべきだと書いています。

投資と投機の二つの言葉の正確な定義とは投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。としています。

この話はちょっと置いておいて、ゼロサムゲームへ話は移ります。

ゼロサムゲームとは

ゼロサムゲームとはなんでしょうか。これは一人に点数が増えると、誰かの点が減るというゲームです。サムというのは総和のことで、お互いに点数をやり取りするために総和が増えない遊戯(=広義のゲーム)のことです。

麻雀であがって点数が入る時や、将棋で駒をとって手持ちにしても、同じだけ相手からも減るので全体としてのパイは増えていませんよね。これがゼロサム(ゲーム)と言われるものです。

機に乗じて資本を投下し、何も生まずに勝者が敗者から奪います。ゼロサムゲームこそが投機なのです。

それでは株式取引はゼロサムゲームなのでしょうか?

インカムゲインについて

株式投資のインカムゲインと言えば配当金です。この配当金は誰かが損をして支払ったものではありません。もちろん企業が支払ったのですが、企業の目的は利益を上げて株主に還元することなのですから、企業も損しているわけではありません。

配当金はゼロサムではないので投資といえますね。

キャピタルゲインについて

株の売買が成立するときというのは、買う人がいれば売る人も必ずいるわけです。誰かはここから上がると思って買い、また誰かはそこから下がると思って売るわけです。結果はどうなるかわかりませんが、儲かる人がいれば損をする人もいます。

誰かが100円で買った株を120円で売る。120円で買った誰かは150円で売る。150円で買った人は値下がりして100円で売る。このように株取引は、同じ株をめぐって人それぞれ違う値段でグルグルまわしているのです。

キャピタルゲイン(値上がり益)は誰かの損失をかき集めたものであり、それはゼロサムゲームなのです。その期間が例え1年や10年でも、誰かの値上がり利益は他の誰かから支払われたものなのであり、それは投機行為であると言えます。

内部留保と株主資本

ただ誰かのキャピタルゲインが誰かの損失になりえない場合があります。それは収益を内部留保され、分厚くなった新たな株主資本を手に入れた場合です。株主資本が解散時に株主の手元に戻るとするのなら、少なくともその値段で買った場合は、理論上は損することにはなりませんから。

ということで配当で支払われようが内部留保されようが、ROEこそが株主が得られる投資のリターンの源泉なのです。

投資とは

投資とは、つまりは企業収益(ROE)でパイがでかくなること。それ以外の市場参加者同士でのやり取り、ゼロサムゲームは投機なのです。

株式投資という表現が間違いを生みやすい言葉です。投資するのは株式ではなく、株式を発行する企業なのです。株をいくら持っていても、株からは何も生まれません。

ROE以上の株主へのリターンはないのです。

グレアムの手法である、価値以下の価格で買い価値に戻ったら売るというのも、価値以下で売ってしまった市場参加者から搾取する投機行為でありゼロサムゲームなのです。

※グレアムと話の土俵が違うことはわかっています。

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