株価は誰が決める?~合理的な株価とは~
株価は誰が決めるのでしょうか。株価とは一般的に、投資家同士の市場による取引によって決まっていると説明がなされます。しかしそれはあくまで結果としてそうなるのであり、その投資家が株価として支払う合理的な理由は別にあります。
株価とは、その企業が将来にわたって稼ぎ出すキャッシュのリターンを、現在価値に引き直した価格となります。株式投資の原点に立ち返って、株価というあまりに見慣れたものを考えて見ましょう。
合理的な株価
株価がもし完全に合理的に決まるとするならば、企業が稼ぎ出す収益を合計して、それを割り引いたものになります。ちょっとわかりにくい表現ですので例を挙げます。
30年間存続した企業があったとします。30年間の間に景気の波や政治・経済のいろいろなことがあり、赤字の年も黒字の年もありましたが、その30年間の間で25億円を稼ぎ出しました。最後の企業資産は、資産の売却と借金の返済で5億円になりました。
それではこの会社に投資をするなら、いったいいくら支払えば投資家は利益を上げられたのでしょうか。
答えは30億円未満ですね。30億円より1円でも多く出しては損をしてしまうことになりますから。
しかし29億9千9百万円出資するのも損はしてませんが合理的ではありません。それだけの出資で、30年間で100万円しか利益が上がられないということは、年間利回りは0.0011%ほどになってしまいます。この場合ですと30年で30億円の資産を稼ぎ出すと確実にわかっていますから、リスク(不確定要素)はゼロとなりますが、それにしても低すぎる収益です。
例えば15億円の出資ですと3.33…%になります。30年で倍になる計算ですね。この数字は投資家によっては満足できるものかもしれませんが、他の投資家によっては低いものかもしれません。ここで初めて投資家同士による、満足のいくリターンを得るための価格の付け合いがなされるわけです。
この部分が、いわゆる株価とは株式市場における投資家同士の値決めによる価格に当てはまるのです。
株価は誰が決める?という問いの答えは、1つ目はどれだけ収益を上げられるかという企業、そして2つ目はその収益にたいしていくら支払うかという投資家、という答えになります。まずはこの大前提が根本にあるのです。
現実においての株価の変動要因
先ほどの例は過去の企業のものなので、企業収益がいくらだったか完全に把握できますが、株式投資は現在の企業の未来の収益へ投資するものです。そのために多数の不確定要素が存在することになります。
投資家ごとに将来の収益の判断は異なり、また期待する利回りも違うために株価は常に変動しています。
投資家の判断の元となる企業収益は毎年のように変動します。経営者や企業は一生懸命増やそうと努力しているにもかかわらず、ライバル会社や政治要因、天候要因などで増えることもあれば減ることもあり、一定であり続けることはありません。そのために将来のリターンの総和を計算することは難しいのです。
そしてそれらが株価の変動要因になってきます。
景気変動
景気の良し悪しは主に、個人消費と企業の設備投資で観測されます。個人消費と企業設備が多くなれば、企業収益も増え、将来にわたって受け取れるであろうキャッシュも増えるので、景気の拡大は株価に対しての上昇要因として働きます。
景気は波があるのだから、現在景気が良くてもそのうち悪くなるかもしれませんが、とりあえず景気上昇の恩恵は少なからず受けられるので、景気が良くないときの株価よりは上昇することになります。
金利変動
株式市場が投資家同士の期待リターンの値付けの場所とすると、市場の金利はとても大きな変動理由となります。株式投資は将来の収益がわからないリスクがありますが、債券などの金利商品は利回りは確定しています。
デフォルト(債務不履行)リスクはあるものの、利回りが同じなら将来が確実にはわからない株式よりも魅力があります。そのために金利が上昇すると、株式にはより多くのリターンを求めるために、その支払う対価は低くしなくてはなりません。よって金利の上昇は株価の下落につながります。(参照→株式益回りとは)
また一般的に、企業全体を見渡すと借り入れが超過しています。そのため金利の上昇はコスト上昇要因になるために、企業収益の減少につながるとみられます。
為替相場
為替相場による輸出企業の円高による円ベースでの利益縮小や、輸入企業の円安による利益上昇など為替損益のほかに、世界市場で見た有望な投資先かどうかという理由もあります。
円高傾向であれば、海外市場のマネーが日本の市場に入ってきます。円が高くなれば相対的に他の通貨、例えばドルより購買力が強くなるので、ドルを円に変えての投資がより多くのリターンを生み出します。
しかしこれも、すでに高くなってしまっているのであれば、手持ちのドルをあまり多くの円に変えられないという問題が出てきます。
その他の需給要因
将来のリターンの割引という大前提があり、そして上記の大きな要因によって株価は決まるのですが、それ以外にも株価が変動するには理由がたくさんあります。しかその前提だけは決して忘れてはいけません。
どんな理由であれ買いたい人間と売りたい人間は存在します。合理的な投資家ばかりではありませんし、価格は最終的にはマーケットでの取引相場になるからです。
その理由には上値支持線を突破しただとか、移動平均乖離率が30%を超えたとか、自民党が政権を握りそうだとか、およそ企業価値とは関係ないものも含まれています。しかしそれを見て売買する人がいる以上、株価は動いてしまいます。
通常の、株価はマーケットで投資家が決める、いろんな要因で株価は動く、という説明はこの部分を大きく持ち上げてしまっていますが、これはもっとも枝葉的なことで、長期的に見た場合は企業価値に回帰していくのです。
バリュー投資は
バリュー投資とはつまるところ株式投資の基本です。将来にわたって受け取る収益価値を、非合理的な行動によって歪められた価格で手に入れることです。
初めの例のように、企業も過去のものとなればリターンの総和を計算できます。あなたという投資家が判断した企業価値は、時間という過程を経て未来が教えてくれるでしょう。
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