高ROE投資はなぜ報われないか
ROE戦略のページを見てもらえばわかるとおり、高ROE銘柄の投資リターンは芳しくありません。高ROE銘柄には図抜けた超成長銘柄も含まれていますので、実際にその他多くの銘柄のリターンはもっと低いものとなっています。
ROEが高いということは、理屈から考えたらリターンが多くなるはずです。高ROE投資はなぜ報われないかについて考えてみましょう。
高PBR、高PERはそもそもリターンが悪い
PBR戦略のページを見てもらうとはっきりわかりますが、機械的に選んだ場合、ROEごとののリターンははっきりしていないのに対し、PBRは低いものからきれいにリターンが高くなっています。
高ROE銘柄はPBRが高くなりやすいので、高ROEはリターンが低くなりやすいといえます。
またROEが高いと収益に対しての期待値が高くなるため、PERも高くなりがちです。PERが高いとリターンが低いという統計も出ていますので、この点でも高ROE銘柄が不利になりやすいのです。
したがって高ROE銘柄でも、適正なPER、PBRで購入することができれば指標からみても低いリターンに甘んじることはないのです。
高いPBRを支払うということ
ROEというのは株主資本利益率です。当たり前のようですが株主資本に対しての利益率であって、株価に対する利益率ではありません。株価に対する利益率は株式益回りになりますね。
BPS100円に対して、EPSを10円あげてくる企業がROE10%なのです。そこにPBR2倍となる、株価200円を支払うとどうなるのでしょうか?
ROEは10%でも、あなたが投じた200円から見れば5%の利益にすぎません。
逆にBPS100円でEPSが5円の、ROEが5%の企業を考えてみましょう。一般的にPBRが低くなることが予想されますが、PBR0.5倍の50円で購入できたとします。
するとROEは5%でも、投じた50円からみれば10%の利益率になるのです。
実はこれらは株式益回りなのですが、株式益回り(=PERと相関)やPBRごとに分類したリターンがきれいに並ぶのは、これらの要因で投資家に対する利回りと考えれば至極当然の結果になるのです。
たとえ良いもの(銘柄)であっても、見返りが収益である以上、高い買い物は収益率の低下になってしまうのです。
これが高ROE投資の報われない理由のひとつめになります。続いてふたつめ。
ROEが高い事業は魅力的
ROEが高い事業というのは、言い換えれば元手が少なくても儲かる事業ということです。そんな事業があれば多くの人が始めようと思いますし、資本が大きな既存の企業もその分野に進出してくることでしょう。
供給に対して需要があるうちはいいのですが、いずれ市場は飽和状態になります。その時に他社と差別化をはかる事は難しく、それは利益率の低下となって企業を苦しめることになります。
つまりROEが高い事業は競合が激しく、いつまでも高いROEを維持できないのです。
身近な例でいえば、自動販売機が挙げられます。清涼飲料水などを売るときは、冷えて(あるいは温めて)いるほうが、商品としての魅力が上がります。自動販売機とは冷蔵庫にお金を入れれば商品が出てくる機械といえます。
これは人手がかからず24時間販売でき、しかも人件費も余りかからないため、リターンの高い事業でした。1970年代から1980年代にかけて設置台数も売り上げも10倍の成長になりました。しかし90年代以降、ほとんど成長していません。
2 0 0 0 年以降、自販機の普及台数・自販金額が伸び悩んでいる背景には、コンビニエンスストアや安価なコーヒー専門店の普及のほかに、以下で紹介する自販機のロケーション(設置場所)の限界があるといわれています。自販機が広く普及した結果、採算が取れる新規の屋外の設置場所はほとんど残されておらず、既存の設置場所を自販機関連企業が奪い合う状態になっています。
出典:自動販売機の現状と課題
このようにおいしい事業は、最終的にシェアの奪い合いに発展していくのです。
おまけ:低ROE事業の今後
ROEが低い事業は反対に、ライバル企業が新規に参入してこないことが多くなります。儲からない事業に、わざわざ大きな資本を投下してまでしのぎを削ろうとは思わないからです。
それどころか採算が合わなくなれば既存企業の撤退さえ考えられます。競合他社が倒産するケースも出てきます。この場合、少ないパイかもしれませんが残された企業は何もすることなくシェアを伸ばすことができます。
小さな町に床屋が2軒あったとします。2軒とも大して儲かっていないので、新たに床屋を始めようと思う人はいません。
2件の床屋は少ないパイを奪おうと、営業時間を長くしたり料金を下げるなどして競争しています。やがて片方の店は利益が出ずに店をたたんでしまいました。
そうなれば残されたお店は、現状維持で売り上げは2倍です。それどころか料金を上げても、床屋がそこしかなければみんな来てくれます。営業時間を短くしても利益が出せるようになります。
おいしくない事業も、生き残ることで利益を出すことができるかもしれないのです。
[...] 前回の高ROE投資はなぜ報われないかに書きましたが、株主資本利益率が高い事業は新規参入者にとって魅力的なのです。効率のよい投資になることが予想されるので、その事業を始めよ [...]
Posted at 2008.06.8 9:10 PM by 消費者独占型企業の参入障壁を確認する方法 | かねなし父さんの挑戦